まず結論
滴下係数は、輸液セットで液体1mLに相当する公称の滴数を表す値で、単位は滴/mLです。20滴/mL・60滴/mLなどの表示を、1分間の滴数(滴/分)や1時間の流量(mL/h)と区別して読みます。実際に使う品種の包装と電子添文で確認することが基本です。
- 係数滴/mL:1mLに相当する公称の滴数
- 速度滴/分:1分間に落ちる滴数
- 流量mL/h:1時間あたりの液体の量
- 確認換算結果だけで投与量・機器への適合を判断しない
滴下係数は「1mLを何滴として扱うか」を表す
滴下係数の分母は「mL」であり、「分」ではありません。輸液セットの点滴口から落ちる液滴について、一定の液量に相当する公称の滴数を示します。同じ数字でも単位が違えば、読んでいる情報は別です。
滴下係数
1mLに相当する公称の滴数。セットの表示で確認します。
1分間の滴数
時間あたりに落ちる滴の数。滴下係数とは別の量です。
1時間の流量
時間あたりの液量。滴数からの換算には係数が必要です。
液量・容量
液体そのものの量。時間の条件を含みません。
点滴筒・クランプなどの位置と役割は、輸液セットとは―構造と各部名称もあわせて確認できます。
20滴/mLと60滴/mLは、同じ1mLに対する滴数の違い
「20滴≒1mL」は約20滴で1mL、「60滴≒1mL」は約60滴で1mLに相当する表示です。テルモの2025年3月のカタログでも、品種ごとにこの2種類が区別されています。60滴/mLだから液量が3倍になる、という意味ではありません。テルモ「輸液セット」品種表(新しいタブ)

国内で滴数を20滴または60滴へ統一した経緯は、2007年の安全性情報に示されています。同資料は個包装の公称滴数表示の確認も呼びかけています。過去の通知を現在の個別製品の仕様に置き換えず、手元の製品名・品種と表示を照合してください。PMDA掲載・安全性情報No.235(新しいタブ)
滴/分とmL/hの関係は、係数と時間の単位で整理する
公称の滴下係数を使った単位換算では、時間あたりの液量に滴/mLを掛け、1時間を60分へ換算します。逆向きの換算では、1分間の滴数を1時間分にし、滴下係数で割ります。
以下は仮の流量を60mL/hとした、単位を理解するためだけの計算例です。患者、薬剤、投与量、使用機器を想定したものではなく、推奨設定値ではありません。
画面が狭い場合は、表を左右にスクロールして確認できます。
| 滴下係数 | 単位換算 | 計算結果 |
|---|---|---|
| 20滴/mL | 60 × 20 ÷ 60 | 20滴/分 |
| 60滴/mL | 60 × 60 ÷ 60 | 60滴/分 |
同じ60mL/hでも、換算後の滴/分は異なります。逆に、同じ20滴/分を仮定すると、20滴/mLでは60mL/h、60滴/mLでは20mL/hとなります。数字だけを引き継がず、係数と単位を一組で読む理由がここにあります。
公称値による換算と、実際に流れる量は区別する
「テルフュージョン定量輸液セットA」の電子添文には、滴下方式では一滴あたりの容積が薬剤によって異なる可能性があると記載されています。公称値で算出した結果だけで実際の投与量が保証されるとは考えず、使用する製品・薬液の注意事項を確認します。テルモ電子添文・点滴量の注意(新しいタブ)
また、滴下係数が一致することと、輸液ポンプに適合することは別です。同電子添文は、ポンプの製造販売業者へ適用可否を確認し、ポンプ側の電子添文・取扱説明書も参照するよう求めています。滴下係数だけでセットを置き換えたり、全てのポンプに同じ換算・設定方法を当てはめたりしません。
延長チューブ側の内部容量・接続・耐圧など、別途照合する仕様は、医療用延長チューブの構造と種類もあわせて確認できます。
実際の医療現場では、包装の係数と指示の単位を照合する
以下は公式資料に基づく一般的な確認観点です。特定施設の実施手順や診療経験を示すものではなく、製品・使用方式・所属施設の手順によって確認内容は異なります。
- 1製品と品種を特定する
包装の販売名・製品コードを確認し、対応する電子添文・仕様資料と照合します。包装の色や見た目だけで係数を推測しません。
- 2公称滴数を単位ごと読む
20滴≒1mL、60滴≒1mL等の表示を確認します。以前使用したセットと同じ係数だと決めつけないことが重要です。
- 3指示・記録・機器の単位を区別する
液量(mL)、流量(mL/h)、滴数(滴/分)のどれを扱っているかを明確にし、院内の確認手順と照合します。不明な指示を計算で補いません。
- 4使用方式と実際の状態を確認する
ポンプ使用時は適合製品と機器の指示を確認します。参照した電子添文では、開始時と輸液中の点滴の落下状態・液面・輸液剤の減り具合等の確認も求められています。

表示が読めない、品種が不明、公式資料と一致しない場合は、係数や適合性を推測せず、製造販売業者や施設の担当者へ確認します。PMDAの医療機器情報検索(新しいタブ)も、対象製品の文書を探す入口になります。
滴下係数についてよくある疑問
20滴/mLと20滴/分は同じ意味ですか?
異なります。20滴/mLは1mLに相当する公称の滴数、20滴/分は1分間に落ちる滴数です。時間あたりの流量へ換算するには、滴下係数と時間の単位を両方確認します。
60滴/mLなら、滴/分とmL/hの数値は同じですか?
公称値で換算すると数値は同じになります。式の60滴/mLと、1時間を60分に換算する係数が相殺されるためです。ただし単位は異なり、実際の投与量を保証する関係ではありません。
一滴の量は、どの薬液でも同じですか?
同じとは限りません。参照した電子添文には、滴下方式では一滴あたりの容積が薬剤によって異なる可能性があると記載されています。表示の公称値と、個別製品・薬液の注意事項を合わせて確認します。
滴下係数が同じなら、同じ輸液ポンプで使えますか?
滴下係数の一致だけでは判断できません。セットの対応方式と、ポンプが指定する適合製品・設定を双方の電子添文や取扱説明書で確認する必要があります。
本記事は一般的な情報提供を目的とし、個別患者の治療・薬剤選択・投与量・流量設定・製品選定・操作を指示するものではありません。実際の使用では、処方内容と対象製品・機器の最新電子添文、取扱説明書、所属施設の手順を優先してください。
この記事で参照した公的資料
内容は以下の公的資料を基に整理しています。資料確認日:。
- 輸液セット及び輸血セットの滴数の統一について(安全性情報No.235)厚生労働省/PMDA掲載|2007年4月の通知解説。20滴・60滴への統一の背景と、個包装の公称滴数表示の確認。現在の製品仕様は個別資料で確認(新しいタブで開きます)
- 輸液セット 製品カタログ(25T017)テルモ株式会社|2025年3月。2ページ目の品種表で20滴≒1mL・60滴≒1mLの表示例を確認。TEXIA製品の仕様ではない(新しいタブで開きます)
- テルフュージョン定量輸液セットA 電子添文テルモ株式会社(PMDA掲載)|2025年4月改訂・第9版。個包装表示、薬剤による一滴容積の違い、輸液状態の確認、ポンプ適合の注意を参照。個別製品の資料(新しいタブで開きます)
- 医療機器 添付文書等情報検索PMDA|対象製品の最新電子添文と安全情報を確認するための検索窓口(新しいタブで開きます)

