まず結論
輸液ラインのクランプには、ローラー型、ワンタッチ型、スライド型などがあります。自然落下式で滴下を調整する部品と、流路を開閉する部品を区別することが基本です。同じ『クランプ』という名称でも役割は同じではなく、対応するチューブと使用位置・方法は製品ごとに確認します。
- 構造名称と外形を構造図で照合
- 役割流量調整と開閉を区別
- 適合チューブ・品種・併用機器を確認
- 安全位置と閉塞状態を確認
まず、流量を調整する役割と流路を閉じる役割を分ける
輸液セットの文書には「クランプ」「クレンメ」という名称が出てきます。名称だけを覚えるより、どのチューブに取り付けられ、何をする部品かを構造図と使用方法で照合すると理解しやすくなります。
例えば「セイフアクセス 輸液セット」の自然落下式は、ローラクランプで点滴筒内の滴下の速さを調整する構成です。一方、同文書は輸液ポンプを使用する場合を別に説明しています。自然落下時の役割を、そのままポンプ使用時の操作へ当てはめることはできません。電子添文の種類・使用方法(新しいタブ)
流路全体と、滴下を観察する点滴筒の構造は、輸液セットとは―構造と各部名称、点滴筒の構造と確認項目もあわせて確認できます。
基礎知識の一覧は、輸液セット・輸液管理の「基本構造・各部の役割」からも確認できます。
ローラー型・ワンタッチ型・スライド型の見分け方

ローラー型:車輪状の部品を備える
細長い本体にローラーを備えた形です。自然落下式の参照製品では流量調整や閉止に用い、滴下の状態を見ながら調整するよう説明されています。ローラーの見た目の位置を、一定の流量を示す目盛りとして読むものではありません。ローラクランプの説明(新しいタブ)
ワンタッチ型:チューブを挟む開閉部を備える
クリップ状の部品でチューブを開閉する構成です。「ケモセーフロック輸液セット(Y型ライン)」では、ローラー型とは別にワンタッチ型が図示され、使用する流路ごとに開閉条件が定められています。部品が複数ある場合も、それぞれの役割を区別します。構造図・使用方法(新しいタブ)
スライド型:板状の部品にチューブを通す
穴・溝を備えた板状の構成が一例です。参照した「インターリンクI.V.アクセスシステム」の2N3374・2N3375では、スライドクランプは開閉に使う一方、流量調節への使用は禁止されています。開閉用の部品を、細かな流量調整用と考えないことが重要です。該当品種の使用方法・注意(新しいタブ)
対応するチューブと、取り付け位置を確認する
同じ製品群でも、品番や仕様変更によってクランプの位置が異なることがあります。カーディナルヘルスは2025年10月、セイフアクセス輸液セットの一部品番について、スライドクランプの取り付け位置をフィルタ上部から下部へ変更する案内を出しています。全品種の変更ではなく、対象品番が限定された例です。メーカー変更案内(新しいタブ)
- 包装の販売名・品番に合った構造図か確認する。
- どのチューブ部分にどのクランプがあるか、フィルターや分岐との位置関係も照合する。
- 対応チューブや併用機器の指定、変更対象の品番・ロットなどを文書で確認する。
別のラインに付け替えたり、形の似た部品で代用したりできるかを、外観だけで判断しません。不明な組み合わせは製造販売業者に確認します。参照製品の仕様・分類をTEXIA製品の確定仕様、届出完了、販売開始の情報へ読み替えることもできません。
閉じた見た目だけで、安全を判断しない
テルモの参照電子添文は、スライド型・ワンタッチ型ではチューブがずれて十分に閉塞しない可能性を挙げています。また、自然落下で調整後のチューブに過度な負荷がかかりローラーが動くと、流量変化やフリーフローにつながる可能性も示しています。クランプだけでなく、チューブの位置と負荷を一緒に確認する理由です。電子添文・5ページの注意(新しいタブ)
カーディナルヘルスの参照電子添文も、ローラーへの過度な力や斜めの力による破損・脱輪に注意を促しています。流れが変わったときに、強く押すことを解決策と考えず、製品の注意事項と施設の手順に沿って確認します。ローラー操作の注意(新しいタブ)
実際の医療現場で、クランプ位置と採用製品の手順を照合する
以下は公式資料を読むための一般的な確認観点です。特定施設で実施された手順や診療経験ではありません。実際の操作順序・観察頻度は、採用製品の最新電子添文・取扱説明書と所属施設の手順に従います。
- 1採用製品と部品を特定する
販売名・品番・文書の版を確認し、構造図でクランプの名称と位置を突き合わせます。
- 2役割と使用条件を読む
流量調整用か開閉用か、対応するチューブはどこか、ポンプ等の併用条件があるかを整理します。
- 3操作後・使用中の確認を省かない
指定された閉塞確認やチューブの状態、投与速度等の確認事項を読みます。見た目の開閉だけで輸液全体が適切と判断しません。

確認先はPMDAの医療機器情報検索(新しいタブ)や製造販売業者の公式情報です。患者・ご家族が輸液ラインを自己調整するための手引きではありません。個別患者の投与量・速度・製品選定、異常時の対処は担当医療者に確認してください。
クランプについてよくある疑問
クランプとクレンメは、別の部品ですか?
資料によって呼び方が異なります。名前だけで判断せず、ローラー型・ワンタッチ型・スライド型などの構造と、その製品で指定された役割を確認します。
スライド型でも、流量を細かく調整できますか?
開閉用部品を流量調整用とみなすことはできません。参照したインターリンクI.V.アクセスシステムの該当品種は、スライドクランプによる流量調節を禁止しています。使用する品種の電子添文で確認してください。
同じ色のクランプなら、位置や使い方も同じですか?
同じとは限りません。対象製品の品番・構造図・変更案内を照合します。色や形が似ていることだけで、対応チューブや操作条件が同じとは判断しません。
クランプを閉じれば、確認は終わりですか?
閉じたように見えても、チューブのずれなどで閉塞しない可能性が電子添文で注意されています。対象製品の手順に沿った閉塞確認や、使用中の輸液状態の確認が必要です。
この記事で参照した公的資料
内容は以下の公的資料を基に整理しています。資料確認日:。
- ケモセーフロック輸液セット(Y型ライン)電子添文テルモ株式会社|2025年3月・第4版。構造図、自然落下用品種のローラークレンメ、開閉時の閉塞確認、負荷、AFFクリップの注意を参照。当該製品の条件を全製品へ一般化しない(新しいタブで開きます)
- セイフアクセス 輸液セット 電子添文カーディナルヘルス株式会社|2022年10月・第12版。2026年10月6日に公式製品ページから掲載版を確認。自然落下式の流量調整、過度な力・斜めの力、使用中の確認を参照(新しいタブで開きます)
- インターリンクI.V.アクセスシステム(2N3374、2N3375)電子添文バクスター株式会社(PMDA掲載)|2017年7月・第6版。2026年10月6日にPMDA掲載PDFを確認。該当品種のスライドクランプによる流量調節禁止のみ参照。他品種の仕様を保証しない(新しいタブで開きます)
- 「セイフアクセス 輸液セット」スライドクランプの取り付け位置変更カーディナルヘルス株式会社|2025年10月の変更案内。対象品番が限定される取り付け位置変更の例。実製品の構造図と変更対象の照合に使用(新しいタブで開きます)
- 医療機器 添付文書等情報検索PMDA|採用製品の販売名・品種に合う最新電子添文・安全情報の確認窓口(新しいタブで開きます)

