まず結論
PVCフリーとDEHPフリーは、同じ意味の表示ではありません。PVCは樹脂、DEHPは可塑剤の一種です。どの部品・接液部に対する表示かを確かめ、薬剤と機器の指定も照合します。材料名だけで製品の優劣や、すべての薬液への適合性を判断しません。
- PVCチューブ等の樹脂を確認
- DEHP可塑剤の種類を確認
- 範囲チューブと他部品を区別
- 適合薬剤・機器側の指定も照合
PVCは樹脂、DEHPは可塑剤の一種
PVCはポリ塩化ビニルを指す略称です。DEHPはフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)という可塑剤の一種で、柔軟性を持たせるために使われます。「どの樹脂でできているか」と「どの可塑剤を使っているか」は、分けて読む必要があります。
厚生労働省の安全性情報No.189は、PVC以外の材料を使うものと、可塑剤にDEHPを使わないPVC製品を区別しています。これは2003年の資料ですが、DEHP不使用をPVC不使用と読み替えられないことを理解する助けになります。掲載製品の現在の仕様や流通を示す資料としては扱いません。安全性情報No.189(新しいタブ)

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| 表示・用語 | 確認する対象 | 表示だけでは判断しないこと |
|---|---|---|
| PVCフリー | 表示対象にPVCを使っていないこと。実際の樹脂名と対象部位を確認 | 製品全体の組成、すべての薬液との適合 |
| DEHPフリー | 可塑剤DEHPの不使用に関する表示。範囲とメーカーの説明を確認 | PVC不使用、他の可塑剤も含めた全面的な不使用 |
| 原材料欄 | チューブ・接続部・フィルター等の部品ごとの材料 | 材料名だけによる性能順位、ポンプや薬液への適合 |
製品説明の「フリー」を、数値としての完全なゼロや、未記載成分まで含めた不存在の証明へ広げません。含有基準や試験条件が必要なら、製造販売業者の正式資料を確認します。
チューブの表示を、セット全体へ広げない
JMSの輸液セット製品案内では、DEHPフリーとPVCフリーを別の区分で掲載しています。同ページのロゴ説明は、採用しているチューブを対象に記載しています。したがって、ロゴだけを見て、接続部や追加部品を含むライン全体が同じ材料だとは判断しません。JMS製品案内・ロゴの説明(新しいタブ)
部品ごとの違いは電子添文でも確認できます。テルフュージョン輸液セット(PVCフリー)の原材料一覧では、チューブはポリブタジエン、メスコネクターはポリプロピレンとされています。ロックコネクターなどには品種によって材料が異なる注記があります。これは一つの認証品の例であり、すべてのPVCフリー製品の材料を示しません。原材料一覧・1頁(PDF・新しいタブ)
チューブ
樹脂と可塑剤の表示、対象範囲、品番を確認します。
接続部・追加部品
接続部、活栓、フィルター等は各部品の材料欄と注意を読みます。
機器との組み合わせ
材質表示とは別に、ポンプ等が指定するセットと使用条件を照合します。
構成部品や、全長・内径・内容量の表示も合わせて確認するには、輸液セットとは―構造と各部名称、輸液チューブの長さと内径もあわせて確認できます。
シリンジ側も外筒・ガスケット・潤滑剤を分けて材料表示を確認するには、シリンジの主な材質と確認項目もあわせて確認できます。
天然ゴムラテックスの表示との違いと、『フリー』が対象とする部品・包装の範囲は、ラテックス・DEHPの表示もあわせて確認できます。
薬剤側の注意事項と、部品の材料を照合する
材料表示を読む目的は、単純な優劣をつけることではなく、使う薬剤・製品・機器の条件を確かめることです。薬剤の電子添文には、輸液セット等の材質に関する注意が記載されている場合があります。器具側の資料だけでなく、薬剤側も確認します。
例えば、ミキシッドL輸液・H輸液の電子添文14.3.2では、DEHPを可塑剤として含むPVC製の輸液セット等から製剤中へDEHPが溶出するため、DEHPを含まないセット等が望ましいとされています。続く14.3.3には、脂肪乳剤を含む本剤でポリカーボネート製接合部にひび割れが生じ、漏れや空気混入につながる可能性があるという別の注意があります。ミキシッド電子添文・14.3.2〜14.3.3(PDF・新しいタブ)
この記事では、薬剤の処方・投与方法や患者別の製品選択を案内しません。また、引用した他社認証品の材料を、Class I全体やTEXIA製品の仕様へ転用しません。材料の確認と、接続規格・流量・機器適合の確認も別の項目です。
滴下係数や接続部の耐圧・流量など、材質とは別に読む仕様は、輸液セットの滴下係数とは、コネクタの耐圧・流量情報もあわせて確認できます。
実際の医療現場:材料・薬剤・使用条件を照合する
以下は公式資料から整理した一般的な確認観点です。特定施設の手順、患者の症例、診療経験を紹介するものではありません。患者の状態を踏まえた製品選定や投与判断は、担当医療者が最新の情報と施設の手順に基づいて行います。

- 01
製品を特定する
販売名・品番をそろえ、包装、電子添文、正式仕様の対応を確認します。似た外観や同じシリーズ名だけで材料が同じと判断しません。
- 02
表示の範囲を確認する
PVC・DEHPの表示がチューブ、接液部、セット全体のどこを指すかを確認します。追加した延長チューブや接続部品は、それぞれの原材料欄を読みます。
- 03
薬剤と機器の資料を合わせる
薬剤側の材質に関する注意と、器具側の併用条件を照合します。ポンプ使用の場合は、機種に指定されたセットも別途確認します。
- 04
不明点を残して照会する
表示の範囲や材料が不明なら、品番・資料の版・確認したい薬剤や条件を整理して製造販売業者へ問い合わせます。不明な項目を「使用可能」として扱いません。
最新資料はPMDAの医療機器検索(新しいタブ)や製造販売業者の公式案内で確認できます。関連テーマは輸液セットの「滴下・チューブ仕様」一覧にまとめています。
PVC・DEHPフリーについてよくある疑問
PVCフリーとDEHPフリーは同じ意味ですか?
同義ではありません。PVCはポリ塩化ビニルという樹脂、DEHPは可塑剤の一種を指します。DEHPを使わないPVC製品もあり、DEHPフリーだけではPVC不使用とは判断できません。表示がチューブだけか、接液部全体かも確認します。
DEHPフリーなら可塑剤は入っていませんか?
DEHPフリーは、可塑剤がすべて不使用という意味ではありません。他の可塑剤の使用や原材料の構成は、対象品番の電子添文・正式資料で確認します。表示のない成分を推定しません。
PVCフリーなら、どの薬液にも使えますか?
すべての薬液との適合を保証する表示ではありません。チューブだけでなく接続部やフィルターなどの原材料と注意事項を確認し、薬剤側の電子添文も照合します。個別患者の製品選定を表示だけで決めません。
材質の表示があれば、ポンプ適合も確認できますか?
材質表示だけではポンプ適合は判断できません。使用する機器が指定する販売名・品番・使用条件を確認します。外観や寸法が似ていても、指定外のセットへ置き換える根拠にはなりません。
更新履歴:2026年11月3日、ラテックス・DEHPの表示範囲を確認する記事への文脈リンクを追加。
この記事で参照した公式資料
資料中の材料や注意事項は、記載した製品に対応する例です。TEXIAの仕様や全製品共通の性能・適合性を示しません。実用品は最新の電子添文・正式資料を確認してください。資料確認日:。
- 輸液セット 製品案内・ロゴについて株式会社ジェイ・エム・エス|DEHPフリーとPVCフリーの区分、ロゴの説明対象がチューブであることを参照。メーカーの説明を全社共通の表示基準や性能保証へ一般化しない(新しいタブで開きます)
- 医薬品・医療用具等安全性情報 No.189厚生労働省(PMDA掲載)|2003年5月。PVC以外の材質と、非DEHP可塑剤を使うPVC製品の区別を示す歴史的資料。掲載製品の現在の流通・仕様を示すリストとしては使用しない(新しいタブで開きます)
- テルフュージョン輸液セット(PVCフリー)電子添文テルモ株式会社|2023年3月・第8版、1頁の原材料一覧を参照。品種ごとに原材料が異なる部品がある。当該認証品の例でありClass I全体の仕様ではない(新しいタブで開きます)
- ミキシッドL輸液・ミキシッドH輸液 電子添文大塚製薬工場(PMDA掲載)|2026年5月・第3版、14.3.2〜14.3.3。DEHPの溶出とポリカーボネート接合部の注意を別項目として参照。薬剤の使用推奨・投与方法・患者別選択の説明ではない(新しいタブで開きます)
- 医療機器 添付文書等情報検索PMDA|販売名・品種に対応する最新の電子添文を確認する窓口(新しいタブで開きます)

