まず結論
ラテックスとDEHPは、別々に確認する材料表示です。天然ゴムラテックスの使用に関する説明と、可塑剤DEHPの使用に関する説明を分け、対象の部品・容器・包装を確かめます。『フリー』だけでアレルギーが起こらないことや、すべての薬液への適合を判断せず、対象品番の電子添文とメーカーの正式資料を照合してください。
- 材料天然ゴムと可塑剤を区別
- 範囲部品・容器・包装を確認
- 原典電子添文と正式資料を照合
- 不明点不使用と推測せず照会
ラテックスとDEHPは、異なる材料についての表示
医療機器の材料表示では、天然ゴムラテックスの使用に関する情報と、DEHPという可塑剤の情報を分けて読みます。DEHPはポリ塩化ビニル(PVC)を柔軟にするために用いられる可塑剤の一種です。天然ゴムラテックスとは異なり、一方の不使用表示から、もう一方も使われていないとは判断できません。
シリンジのガスケット、輸液セットのチューブや接続部など、器具は複数の材料で構成されます。器具名だけでなく、確認したい部品と材料名を対応させることが出発点です。

シリンジを外筒・ガスケット・潤滑剤に分けて確認するには、シリンジの主な材質と確認項目もあわせて確認できます。
天然ゴムラテックスの表示は、使用の有無と注意事項を読む
天然ゴムに含まれるたんぱく質は、アレルギー反応の原因になり得ます。PMDAに掲載された厚生省の安全性情報では、天然ゴムを使用する医療用具について、構成部材を含めた表示とアレルギーへの注意喚起が示されています。実用品の確認には、その製品の電子添文とメーカーの正式資料を用います。天然ゴムに関する安全性情報(新しいタブ)
「ラテックスフリー」という短い表示は、メーカーが何をどの範囲について説明しているのかまで確認します。米国FDAの2014年ガイダンスは、アレルゲンが完全に存在しないと受け取られ得る表現に注意を示し、製造材料として天然ゴムラテックスを使っていないことが伝わる表現を推奨しています。これは米国の表示に関する推奨であり、日本の義務表示を定めたものではありません。FDAガイダンス(英語・新しいタブ)
表示の対象が製品全体なのか、特定のゴム栓や部品なのか、容器・包装も含むのかを読み分けます。部品の表示を包装全体へ広げたり、「ゴム」「エラストマー」という名称や色だけで天然ゴムの使用を決めたりしないようにします。
DEHPフリーは、PVCフリーや製品全体の表示と分けて確認
DEHPフリーとPVCフリーは同じ意味ではありません。厚生労働省の安全性情報は、PVC以外の材質を用いる製品と、DEHP以外の可塑剤を使ったPVC製品を分けています。したがって、DEHPフリーという表示だけで、PVCや可塑剤全般が使われていないとは判断できません。安全性情報 No.189(新しいタブ)
例えば、JMSの輸液セットの製品案内は、チューブ材質についてDEHPフリーとPVCフリーを分けて掲載しています。ここで示される対象を確認し、チューブについての説明を接続部や包装の材料まで拡張しないようにします。JMSの製品案内(新しいタブ)
電子添文の原材料一覧も、表の見出しから読みます。テルフュージョン輸液セット(PVCフリー)の掲載電子添文では、血液・体液に接触する部分について部品別に材料を示し、品種によって異なる材料があることを注記しています。この表を製品の包装を含む全材料の一覧とは読み替えません。部品別の原材料の記載例(PDF・新しいタブ)
材質表示は、すべての薬液や接続機器との適合を保証するものでもありません。対象品番の原材料と注意事項を確認し、併用する医薬品・医療機器の電子添文も照合します。ここに挙げた他社製品の例は、TEXIA製品の仕様を示しません。
輸液チューブの樹脂・可塑剤と薬剤側の注意事項を詳しく確認するには、PVC・DEHPフリーの表示もあわせて確認できます。
実際の医療現場では、患者情報と部品・原資料を照合する
以下は公的資料とメーカー資料に基づく一般的な確認観点です。特定の施設で行われた手順や症例を示すものではありません。表示の読み取りで得た情報を、使用可否の判断を担う医療従事者に伝えられる形に整理します。
画面が狭い場合は、表を左右にスクロールして確認できます。
| 確認すること | 照合する内容 | 主な資料・確認先 |
|---|---|---|
| 対象製品 | 販売名・品番・品種と、資料の改訂年月が対応するか | 包装、電子添文、正式仕様 |
| 材料と範囲 | 天然ゴムとDEHPを分け、部品・接液部・容器・包装のどこを説明しているか | 原材料欄、表示の注記、メーカーの説明 |
| 患者・使用条件 | 既知のアレルギー情報、禁忌・注意事項、併用薬剤・機器側の指定 | 医療従事者、各製品の最新資料 |
| 不明点 | 未確認の材料・部位と、照会したい表示の意味を整理する | 製造販売業者、施設の担当者 |
不使用の記載が見当たらない場合も、使用されていないと推定せず確認します。製造販売業者へ照会するときは、製品・品番、対象部位、資料の版、知りたい材料をそろえます。回答も対象の範囲を保ち、同じシリーズの別品番へそのまま転用しないようにします。

原材料欄と禁忌・使用上の注意の読み方は、電子添文の読み方もあわせて確認できます。
関連する表示の確認事項は、安全・規制・更新情報:材質・画像検査関連の表示から確認できます。
ラテックス・DEHPの表示についてよくある疑問
ラテックスフリーとDEHPフリーは同じ意味ですか?
別の表示です。前者は天然ゴムラテックスに関する表示の意味と範囲、後者は可塑剤の一種であるDEHPの使用に関する表示を確認します。一方の表示から、もう一方の含有・不含有は判断できません。
DEHPフリーならPVCも使われていませんか?
そうとは限りません。PVCは樹脂、DEHPは可塑剤の一種です。DEHP以外の可塑剤を用いたPVC製品もあるため、PVCフリーや可塑剤全般の不使用とは区別して読みます。
フリーの表示があれば、アレルギーの心配はありませんか?
アレルギーが起こらないという保証にはできません。何を使わずに製造したという説明なのか、どの部品・容器・包装まで対象なのかを確認し、患者の既知のアレルギー情報と製品の注意事項を医療従事者が照合します。
材料の記載が見つからないときはどうしますか?
記載がないことを不使用と読み替えません。販売名・品番、部品名、確認した資料の版、知りたい材料を整理して製造販売業者へ確認します。別品番の情報や見た目だけで補わないでください。
更新履歴:2026年11月3日、ラテックスとDEHPの違い、表示範囲と原資料の照合項目を整理して公開。
参照した公的資料・電子添文・メーカー資料
歴史的な安全性情報は表示の背景に限って参照し、製品例は当該製品・品種の範囲で扱います。実際に使用する製品は最新の電子添文と正式資料で確認してください。資料確認日:。
- 医薬品・医療用具等安全性情報 No.153:天然ゴムによるアレルギーについて厚生省(PMDA掲載)|1999年3月。天然ゴム使用の表示とアレルギーに関する注意喚起の背景を参照。過去の報告数や製品リストを現在の頻度・仕様として使用しない(新しいタブで開きます)
- 天然ゴムラテックスを製造材料に使用していない製品等の表示に関するガイダンス米国FDA|2014年12月2日発行の最終ガイダンス。表示の限界と対象範囲を参照。米国の推奨であり、日本の義務表示として扱わない(新しいタブで開きます)
- 医薬品・医療用具等安全性情報 No.189厚生労働省(PMDA掲載)|2003年5月。PVC以外の材質と、DEHP以外の可塑剤を用いるPVC製品を区別する背景資料。現在の流通リストやリスク評価には使用しない(新しいタブで開きます)
- 輸液セット 製品案内株式会社ジェイ・エム・エス|2026年11月3日確認。チューブ材質についてDEHPフリー・PVCフリーを分けて掲載している例を参照(新しいタブで開きます)
- テルフュージョン輸液セット(PVCフリー)電子添文テルモ株式会社|2023年3月・第8版、2026年11月3日確認。1頁の接触部原材料一覧と品種差、併用する医薬品・医療機器の電子添文に関する注意を参照。当該認証品の例であり、TEXIA製品やClass I全体の仕様ではない(新しいタブで開きます)
- 医療機器 添付文書等情報検索PMDA|対象製品の電子添文と改訂年月を確認する窓口(新しいタブで開きます)

