安全・規制・更新情報

単回使用医療機器の廃棄に関する基礎

単回使用医療機器の廃棄について、鋭利物・感染性の確認、性状に合う容器、処理委託の条件と施設・地域の確認先を整理します。医療機関からの排出と在宅医療廃棄物の違いも解説します。

排出元、性状・区分、容器・確認先の3つを示す廃棄情報の生成概念図

まず結論

単回使用という表示だけでは、廃棄物の区分や捨て方は決まりません。医療機関か家庭かという排出元、針などの鋭利物、感染性の判断に必要な情報を確認し、性状に合う容器と処理ルートを照合します。不明な場合は、施設の廃棄物管理担当者や地域の行政窓口へ確認してください。

  • 排出元医療機関と家庭を区別
  • 性状鋭利物・液状物等を確認
  • 区分感染性の判断根拠を確認
  • 処理容器・委託条件を照合
01

単回使用の表示と、廃棄物の区分を分けて読む

製品の使用条件と、廃棄物としての取扱いは別に確認します。例えば、テルモシリンジの電子添文には再使用禁止・再滅菌禁止が示されています。この表示は、その製品を再使用できないことを示すもので、廃棄する容器や処理業者まで指定するものではありません。電子添文の表示例(PDF・新しいタブ)

医療関係機関から出る感染性廃棄物について、環境省は形状・排出場所・感染症の種類を判断の軸としています。判断が難しい場合には医師等の判断が必要です。「使用済みだからすべて感染性」「プラスチックだから普通ごみ」と一律には決めません。環境省マニュアル・1.4(PDF・新しいタブ)

汎用注射筒、針なし輸液セット、輸液用延長チューブでも、器具名だけでは廃棄区分は確定しません。実際の内容物や使用状況、接続された鋭利物の有無を、施設の管理担当者と照合します。材質別に分けるための独自の分解や、針の付け外しを勧めるものではありません。

注射筒の使用前後の確認と、製品別の電子添文の読み方は、単回使用シリンジの取扱いと廃棄の基本、電子添文の読み方もあわせて確認できます。

排出元、性状・区分、容器・確認先の3つを示す廃棄情報の生成概念図
廃棄前に照合する情報を示す生成概念図です。実在の施設・製品・廃棄容器の写真や、個別の廃棄手順ではありません。容器の形や色だけで適合性を判断しないでください。
02

容器は、鋭利性・液漏れなどの性状と合わせる

感染性廃棄物は発生時に他の廃棄物と分別し、性状に合う容器に収めます。環境省マニュアルでは、密閉でき、収納しやすく、損傷しにくい容器を基本とし、鋭利物には耐貫通性、液状物には漏れにくさなどを求めています。環境省マニュアル・4.1/4.2(PDF・新しいタブ)

容器の外観が似ていても、収められる物や閉鎖方法が同じとは限りません。用途表示と施設の分別表を照合し、詰め過ぎや不要な移し替えを避けます。液体と鋭利物が含まれる場合も、片方だけに合う容器でよいとは判断しません。

包装が破損した未使用品や期限を過ぎた在庫については、返品・回収等の対応が必要かも管理担当者に確認します。廃棄を決めた場合には、未使用という理由だけで鋭利物の危険性を除外しないようにします。

包装の異常や保管条件からの逸脱が疑われるときは、滅菌包装の破損・汚損、医療機器の保管条件もあわせて確認できます。

03

委託先の許可・契約と、処理の記録を照合する

施設外へ処理を委託するときは、対象の廃棄物を扱える許可と契約の範囲を確認します。業者名や回収実績だけで決めず、廃棄物の種類、許可の区分・条件、有効期限を照合します。感染性廃棄物を扱う場合、その範囲が含まれていることが必要です。

東京都の案内は、産業廃棄物の委託契約を書面で行い、収集運搬と処分の契約関係を確認することを示しています。担当者が確認する資料を、許可証の写し・契約書・実際の排出物と対応させておきます。東京都・4章 処理の委託(PDF・新しいタブ)

産業廃棄物管理票(マニフェスト)は、対象の廃棄物が適正に運搬・処分されたことを確認するための記録です。回収された時点で確認を終えず、最終処分の終了まで確認します。必要な記載・交付または電子登録・保存等の具体的な運用は、最新の行政案内と施設の管理手順に従ってください。

分別、容器、委託契約のいずれかに不明点があれば、施設の廃棄物管理担当者から所在地の行政窓口や契約先へ確認します。契約の対象外の物を、ほかの廃棄物に混ぜて引き渡すことは避けてください。

04

実際の医療現場では、容器と委託条件をつなげて確認する

以下は公的資料に基づく一般的な確認観点です。特定の施設で行われた手順や症例を示すものではありません。物品管理と廃棄物管理の担当者が、同じ対象物について確認できるよう情報を整理します。

画面が狭い場合は、表を左右にスクロールして確認できます。

医療現場で照合する情報と確認先
場面照合する情報主な確認先
対象物の特定製品、排出元、未使用・使用後、内容物、鋭利物の有無製品資料、現場の担当者
分別・容器の確認感染性の判断根拠、容器の用途・収納条件、閉鎖や保管の手順廃棄物管理担当者、容器の表示
委託・記録の確認廃棄物の種類と許可・契約の対応、処理完了の確認方法許可証、契約書、マニフェスト、行政窓口

「この器具を廃棄する」という情報だけでなく、どの状態の物を、どの区分・容器で、どの契約に基づいて引き渡すかを確認します。分からない項目を推測で埋めず、判断を担う担当者と確認先を明確にします。

未開封の包装と画面の資料を照合する手元の生成イメージ
資料照合を表す生成イメージです。実在の施設・製品・院内手順の写真ではありません。描かれた表示やバーコードは製品識別には使用できません。

関連する確認事項は安全・規制・更新情報:保管・包装・廃棄から確認できます。

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家庭からの排出は、地域の回収方法を別に確認する

在宅医療に伴い家庭から排出される廃棄物は、医療機関からの排出と同じ扱いをそのまま当てはめません。環境省通知は一般廃棄物として市町村の計画に位置付け、地域の状況に応じた処理方法を整える考え方を示しています。環境省:在宅医療廃棄物の通知(新しいタブ)

同通知では、鋭利物を医療機関へ持ち込み、その他の非鋭利な物を市町村が処理する方法が望ましいモデルとして示されています。ただし、すべての地域・医療機関・薬局が同じ物を受け付けるという意味ではありません。担当医療機関・薬局と市区町村の廃棄物担当窓口に、対象品、回収先、容器、持参方法を事前に確認してください。

06

単回使用医療機器の廃棄についてよくある疑問

単回使用の製品は、すべて感染性廃棄物ですか?

単回使用は製品の使用条件に関する表示です。廃棄時の感染性は、形状・排出場所・感染症の種類などの判断枠組みに沿って確認します。表示や材質だけで区分を決めません。

未使用の針なら、一般のごみに入れてよいですか?

医療関係機関から排出する鋭利物は、未使用であっても感染性廃棄物と同等の取扱いが必要です。家庭から排出する場合も自己判断で普通ごみへ混ぜず、担当医療機関や地域の窓口に回収方法を確認してください。

プラスチック製で針がなければ、資源回収へ出せますか?

その情報だけでは決められません。内容物や使用状況、感染性の判断、排出元に応じた廃棄区分を確認します。針がないことと、資源回収に適することは別の確認事項です。

廃棄方法が分からないとき、誰に確認しますか?

医療機関内では廃棄物管理担当者を通じて、所在地の行政窓口と契約する処理業者の条件を確認します。在宅医療では担当医療機関・薬局と市区町村の廃棄物担当窓口に、対象品と回収先を確認してください。

更新履歴:2026年11月2日、廃棄区分・容器・委託条件と、施設・地域の確認先を整理して公開。

根拠資料

参照した公的資料・電子添文

医療関係機関からの感染性廃棄物は環境省の2026年4月改定マニュアルを中心に参照し、在宅医療の通知と適用範囲を分けています。所在地の最新の行政案内、施設の手順、製品資料も確認してください。資料確認日:。

  1. 廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル(令和8年4月)環境省|1.4 感染性廃棄物の判断、4.1 分別・4.2 梱包、5.1 委託契約・5.3 マニフェストを参照(新しいタブで開きます)
  2. 感染性廃棄物を適正に処理するために東京都環境局|2018年11月発行の掲載資料。4章の許可・書面契約・マニフェストの基本を、2026年4月の環境省マニュアルと照合して参照(新しいタブで開きます)
  3. 在宅医療に伴い家庭から排出される廃棄物の適正処理について環境省|2005年9月8日通知。家庭からの排出と地域に応じた処理ルートの考え方を参照(新しいタブで開きます)
  4. テルモシリンジ 電子添文テルモ株式会社(PMDA掲載)|2017年8月改訂・第2版。2026年11月2日取得。再使用禁止・再滅菌禁止の製品別の表示例として参照(新しいタブで開きます)
医療監修者

倉田 照久