安全・規制・更新情報

滅菌包装の破損・汚損を認めたときの確認事項

滅菌包装の破れ・穴、水濡れや汚れ、開封・シールの異常に気付いたときの確認点を解説。外箱と滅菌包装の区別、電子添文との照合、納品・使用前に残す情報と確認先を整理します。

破れ・穴、汚れ・水濡れ、開封・シールの異常を3つの架空の包装で示す生成概念図

まず結論

滅菌状態を保つ包装に破れ・穴、水濡れ、開封やシールの異常がある製品は、そのまま使用しません。汚れや損傷に気付いたら、どの包装のどこに異常があるかと製品情報を確認し、施設の管理担当者や製造販売業者へつなぎます。期限内であることや補修したことを、使用できる根拠にしないでください。

  • 包装外箱と滅菌包装を区別
  • 異常見えた事実を記録
  • 照合製品と電子添文を合わせる
  • 対応使用せず確認先につなぐ
01

どの包装の、どこに異常があるかを確認する

最初に、輸送用の箱、製品をまとめた外箱、個包装など、異常が見つかった場所を区別します。外箱の損傷と、滅菌状態を保つ包装そのものの損傷は同じではありません。ただし、外箱だけの問題と推測して、内側の包装や製品への影響を確認せず使用可と決めることも避けます。

滅菌包装には、滅菌後の内容物を微生物の侵入などから保護する役割があります。CDCは使用前に包装の破れ・濡れ・穴などを確認するよう勧告しています。見た目に異常がないことだけで、すべての使用条件を満たしたと判断するものではありません。CDC:包装の役割(新しいタブ)CDC:使用前の確認(新しいタブ)

次の表は、確認先へ状態を伝えるための整理例です。傷の寸法や汚れの色による合否基準ではありません。

画面が狭い場合は、表を左右にスクロールして確認できます。

包装の異常を記録する観点
気付いた状態確認・記録する事実避けたい判断
破れ・穴・つぶれどの包装の、どの位置にあるか。内容物への影響が分かるか小さいから影響はないと決める
汚れ・水濡れ付着や濡れがある範囲、気付いた時点の状態拭いた・乾いたことだけで使用可能とする
開封・シールの異常開いている部分、はがれや浮きが見られる場所貼り直せば未開封と同じと考える
表示の汚損・判読困難読める項目と読めない項目、現品との対応が確認できる資料別の箱の番号や期限で代用する
破れ・穴、汚れ・水濡れ、開封・シールの異常を3つの架空の包装で示す生成概念図
包装の異常を説明する生成概念図です。実製品の写真や判定基準ではありません。異常の大きさ・色・形から使用可否を判定しないでください。
02

期限内でも、包装の状態と電子添文を別に確認する

CDCの滅菌物の保管に関する説明では、期限を超えた場合に加え、滅菌包装が濡れた、破れた、穴が開いた場合も使用しないとしています。シールの破損も滅菌状態に関わる出来事として扱われています。期限だけを確認して包装の異常を見過ごさないことが大切です。CDC:滅菌物の保管(新しいタブ)

個別製品では、販売名・型式や品番に対応した最新の電子添文を開き、改訂年月、禁忌・禁止、使用上の注意、保管方法及び有効期間等、取扱い上の注意を確認します。包装表示や取扱説明書も照合し、不明な点は製造販売業者へ確認してください。厚生労働省:電子添文の記載項目(新しいタブ)

電子添文の見出しと、期限・ロット等の役割は、電子添文の読み方、使用期限・ロット・製造番号もあわせて確認できます。

補修・再包装・再滅菌を、使用できる根拠にしない

例えば「テルモシリンジ」の電子添文には、再使用禁止・再滅菌禁止が明記されています。これは当該製品の禁止事項です。包装をテープで補修したり、独自に包み直したりしても、その製品を使用できる根拠にはなりません。テルモシリンジ・禁忌禁止(PDF・新しいタブ)

医療施設で滅菌物を扱う一般的な資料には再処理の記述もありますが、それを単回使用製品の再使用・再滅菌の許可と読み替えないでください。本記事では再処理の方法や、個別製品の使用再開の判定は扱いません。

03

確認先へ伝える情報を、現品と対応させる

異常に気付いた製品を通常の在庫と取り違えないよう、施設の管理担当者に連絡し、確認が済むまでの扱いを確認します。次の項目は、問い合わせのための情報整理の例です。

  • 販売名、型式や品番、製造販売業者、ロットまたは製造番号、使用期限、対象数量。
  • 異常がある包装の種類と位置、破れ・濡れ・汚れ・開封状態など、実際に観察したこと。
  • 気付いた日時と場所、分かる範囲の納品・保管・移送の状況。
  • 参照した電子添文・取扱説明書の版、対応が確認できる包装表示や写真。

原因、発生時刻、読めない番号などは推測で埋めず、不明と伝えます。写真を残す場合は施設のルールに従い、患者情報や不要な施設内情報が写り込まないようにしてください。確認のために包装をさらに開いたり、状態を変える補修をしたりする前に、担当者へ相談します。

連絡先は、対象製品の電子添文やメーカーの公式サイトで確認します。返品・回収・廃棄などの具体的な扱いは、製造販売業者の指示と所属施設の手順に従ってください。すべての損傷を同じ処理に決め付けません。メーカーの公式問い合わせ窓口の例(新しいタブ)

廃棄することになった場合の区分・容器・委託条件は、単回使用医療機器の廃棄もあわせて確認できます。

04

実際の医療現場では、納品時・使用前・異常時につなげて確認する

以下は公的資料と電子添文を踏まえた一般的な確認観点です。特定の施設で実際に行われた手順や事例を示すものではありません。担当者、記録様式、連絡経路は所属施設の手順に従ってください。

納品時:製品の特定と包装状態を合わせて確認する

納品された販売名・品番・数量と、外箱や個包装の状態を照合します。異常がある場合は、どの包装に何が見られたかを区別して伝えます。内側への影響を、外箱の見た目だけから決めないようにします。

使用前:期限だけで確認を終えない

対象製品の表示を確認するとともに、開封前の包装に破れ・濡れ・シールの異常等がないかを確かめます。異常や不明点があれば、そのまま使用に進めず担当者へつなぎます。

異常時:保管・移送の情報も引き継ぐ

包装の異常と保管・移送の状況を関連付けて記録するときも、観察した事実と原因の推測を分けます。通常在庫との区別や保管場所、引き継ぎ先は施設の手順で確認し、自己判断で使用に戻さないようにします。

温度・湿度・光・包装の保管表示と、条件からの逸脱が疑われる場合は、医療機器の保管条件もあわせて確認できます。

未開封の包装と画面の資料を照合する手元の生成イメージ
資料照合を表す生成イメージです。実在の施設・製品・院内手順の写真ではありません。描かれた表示やバーコードは製品識別には使用できません。

関連する確認事項は安全・規制・更新情報:保管・包装・廃棄から確認できます。

05

包装の異常についてよくある疑問

小さな破れなら、テープでふさいで使えますか?

滅菌包装の破れをテープでふさいでも、滅菌状態を回復したことにはなりません。使用せず、現品を識別できる状態で施設の管理担当者や製造販売業者に確認してください。

外箱だけがつぶれている場合も、すべて廃棄ですか?

外箱の損傷と、滅菌状態を保つ包装の損傷は分けて確認します。ただし外箱だけの異常と推測して使用可と決めたり、一律に廃棄を決めたりせず、製品と包装の構成、内側への影響、メーカーの指示を確認します。

濡れた包装が乾けば、そのまま使えますか?

滅菌包装が濡れた場合、後で乾いたことを使用再開の根拠にしません。濡れた事実を含めて伝え、対象製品の取扱いに従って対応します。

再包装や再滅菌をすれば使用できますか?

自己判断で行わないでください。単回使用製品では再使用や再滅菌が禁止されているものがあります。医療施設での再処理の一般論を、当該製品に転用してはいけません。

更新履歴:2026年11月1日、包装の破損・汚損の確認、電子添文との照合、医療現場での情報整理と確認先をまとめて公開。2026年11月2日、単回使用医療機器の廃棄に関する解説への文脈リンクを追加。

根拠資料

参照した公的資料・電子添文

包装の完全性を確認する原則と、個別製品の禁止事項を分けて参照しています。医療施設での再処理に関する記述を、単回使用製品の再使用・再滅菌の許可として扱わないでください。資料確認日:。

  1. Sterilizing Practices米国疾病予防管理センター(CDC)|2008年ガイドラインの現行掲載ページ(表示日2023年11月28日)。Packaging・Storageの包装の役割、濡れ・破れ・穴・シール破損の説明を参照(新しいタブで開きます)
  2. Recommendations for Disinfection and Sterilization in Healthcare FacilitiesCDC|18. Storage of Sterile Items、18.eの使用前の包装確認を参照。再処理手順は本記事の対象外(新しいタブで開きます)
  3. 医療機器の電子化された添付文書の記載要領について厚生労働省|使用上の注意、保管方法及び有効期間等、取扱い上の注意、製造販売業者の記載項目を参照(新しいタブで開きます)
  4. テルモシリンジ 電子添文テルモ株式会社(PMDA掲載)|2017年8月改訂・第2版。2026年11月1日取得。1ページの再使用禁止・再滅菌禁止を当該製品の例として参照(新しいタブで開きます)
  5. お問い合わせテルモ株式会社|メーカーの公式窓口の例。実際には対象製品の製造販売業者へ確認(新しいタブで開きます)
医療監修者

倉田 照久