まず結論
使用期限は使用に係る期限、ロット番号は製造単位をたどる情報、シリアル番号は個々の製品を識別する情報です。製造番号という表記の意味はメーカー資料で確かめます。包装や本体の表示を、販売名・品番・製造販売業者とセットで読み、期限管理や回収対象の照合に使います。番号や期限の一致だけで使用可否が決まるわけではありません。
- 期限いつまでか
- ロットどの製造単位か
- シリアルどの個体か
- 照合名称・品番も合わせる
使用期限・ロット・シリアルは、確認する対象が異なる
包装の数字や英字には、製品の種類を示すものと、製造単位や個体に結び付くものがあります。まず項目名を読み、その番号が何を表しているかを分けて確認します。
画面が狭い場合は、表を左右にスクロールして確認できます。
| 表示 | 主な役割 | 読むときの注意 |
|---|---|---|
| 使用期限・有効期限 | 使用に係る期限を確認する | 製造年月日や耐用期間と区別し、保管・取扱い条件も確認する |
| ロット番号(LOT) | 製造単位を識別し、対象のまとまりをたどる | 同じロットには複数の製品が含まれ得る。販売名・品番等も合わせる |
| シリアル番号(SN等) | 対象製品の個体を識別する | 番号だけを単独で扱わず、商品情報と組み合わせる |
| 型式・品番・商品コード | モデル・仕様・包装単位などを特定する | ロットや個体の識別情報と混同しない |
厚生労働省の通知は、商品コードと、有効・使用期限やロット番号・シリアル番号などの製造識別子を分けています。GS1の説明でも、商品にロットやシリアルを組み合わせて、識別する範囲を絞ります。「製造番号」と書かれている場合も、呼び方だけでロットか個体番号かを決めず、対象メーカーの説明を確認します。表示の通知(新しいタブ)・GS1の識別の説明(新しいタブ)
製品を特定する名前や品番の役割については、一般的名称と販売名の違いもあわせて確認できます。
包装・ラベルの項目名から、対応する表示を探す
個包装、販売用の箱、本体のラベルなど、手元の製品で確認できる表示を探します。すべてが同じ場所に印刷されるとは限りません。外箱だけを見た場合は、その表示と中の製品が対応していることも確かめます。表示が見つからなければ、メーカーの取扱説明書や包装表示の案内を参照してください。

図の「2028-05-31」「DEMO-A」「DEMO-001」は、日付・ロット・個体番号を区別するための架空例です。製品の表示に必ずLOTとSNの両方がある、という意味ではありません。表示項目は製品や包装単位によって異なります。
バーコードの近くにある括弧付きの数字
GS1の表示では、データの前に付く識別子で意味を区別します。(01)は商品識別コードのGTIN、(17)は有効期限、(10)はロット、(21)はシリアルです。例えば、説明用の「(17)280531」は2028年5月31日を表します。日付のように見える数字でも、項目名を確認せず使用期限と判断しないようにします。GS1技術標準書3.2(PDF・新しいタブ)
GS1の識別子、包装単位、コードの読取り結果の確認については、医療機器のGS1コードもあわせて確認できます。
番号を控えるときは、英字・数字・記号・先頭の0を省略せず、表示どおりに記録します。読み取り結果と印字が一致しない、文字が薄い、年月の解釈が不明な場合は、推測で補わず製造販売業者へ確認します。
期限だけでなく、保管条件と開封後の取扱いを確認する
使用期限の確認と、製品をどの条件で扱えるかの確認は併せて行います。電子添文の「保管方法及び有効期間等」には、保管条件や有効期間などが記載されます。開封後の取扱いや包装の状態については、「使用方法等」「使用上の注意」「取扱い上の注意」や取扱説明書も確認します。電子添文の記載要領(新しいタブ)
期限内という一点から、開封済みの製品や保管条件が分からない製品の使用可否を決めることはできません。未開封時の期限を開封後の使用可能期間に読み替えたり、外観だけで期限を延長したりせず、対象製品の正式な条件を確認してください。
また、耐久性のある機器の「耐用期間」は、包装に示される使用期限とは別の概念です。購入日や使用開始日からの期間を、包装の日付と置き換えないようにします。厚生労働省の表示通知でも、製造識別子の期限表示は耐用期間に適用しないと区別されています。期限表示の扱い(新しいタブ)
期限と合わせて確認する包装の破損・汚損と、異常時の対応は、滅菌包装の破損・汚損もあわせて確認できます。
温度・湿度・光・包装の保管表示と、条件からの逸脱が疑われる場合の確認点は、医療機器の保管条件もあわせて確認できます。
保管条件や注意事項を電子添文のどの見出しで読むかは、電子添文の読み方もあわせて確認できます。
実際の医療現場では、納品・期限管理・回収連絡で照合する
以下は公的資料・標準資料を踏まえた一般的な確認観点です。特定施設の実例や院内手順ではなく、記録方法や担当者への連絡は所属施設の手順に従います。
- 納品確認:販売名、製造販売業者、型式・品番、包装単位を発注内容と照合し、表示された使用期限とロットまたはシリアルを対象製品に結び付けて確認する。
- 期限管理:保管場所・数量と期限を対応させ、保管条件も確認する。外箱を分ける際は、どの包装・ロットの製品か分からなくならないよう、施設の記録方法に従う。
- 回収連絡:案内の販売名・業者・型式や品番・対象番号の範囲を現品と照合する。番号が一致したように見えるだけで結論を出さず、対象と対応方法を確かめる。
照合に使う記録には、製品名と品番等、使用期限、ロットまたはシリアル、確認日、対象の数量・保管場所、参照した案内を残すと、後から対象をたどる手掛かりになります。使用履歴との関連付けが必要な場合も施設の管理手順に従い、患者情報を一般公開の記録や問い合わせの不要な添付資料へ混ぜないようにします。
回収情報は、製品名と対象番号をセットで読む
PMDAの医療機器の回収情報(新しいタブ)から回収概要を確認できます。詳細や対象範囲が不明な場合の問い合わせ先は、各概要に記載された製造販売業者です。回収CSVでは一部の記号が置き換えられる場合があるため、番号が一致しないように見えても、概要本文と合わせて確認します。対象に該当するか、どの対応が必要かは、最新の回収案内で確認してください。
文字が読めない場合は、別製品の箱や似た番号で代用しません。現品の表示を確認できる写真、販売名・品番、納品時の資料などを整理し、製造販売業者に照合方法を問い合わせます。

表示に関する関連知識は医療機器の基礎:包装表示・製品の識別にまとめています。
対象製品の公式資料を探す方法と医療機器の基本は、PMDAでの情報検索、医療機器とはもあわせて確認できます。
使用期限と番号についてよくある疑問
ロット番号と製造番号は同じものですか?
ロット番号は製造単位を、シリアル番号は個々の製品を識別するために用いられます。ただし「製造番号」などの呼び方や表示は製品ごとに異なるため、項目名とメーカーの説明を確認します。番号だけでなく、販売名・品番・商品コード等も合わせて照合してください。
使用期限内なら、開封済みでも使用できますか?
期限の表示だけでは判断できません。開封後の取扱い、包装の状態、保管条件は対象製品の電子添文や取扱説明書で確認します。未開封時の期限を、開封後も使える期間と読み替えないでください。
番号が薄くて読めないときはどうしますか?
判読できない文字を推測して記録せず、対応が確認できる包装や正式資料を調べます。別の箱の番号で代用せず、現品の表示や写真、販売名・品番を手掛かりに製造販売業者へ確認します。
ロット番号だけで回収対象か判断できますか?
番号だけでは不十分です。回収情報の販売名・製造販売業者・型式や品番・対象ロットまたはシリアル番号などを現品と照合します。対象範囲や対応が不明な場合は、回収案内にある製造販売業者の窓口へ確認してください。
更新履歴:2026年10月29日、使用期限・ロット・製造番号の役割と、包装の照合・記録の確認観点を整理して公開。2026年10月30日、GS1コードの読取りに関する文脈リンクを追加。2026年10月31日、保管条件の確認記事への文脈リンクを追加。 2026年11月1日、包装の破損・汚損の確認記事への文脈リンクを追加。
参照した公的資料・標準資料
厚生労働省の表示・電子添文の記載要領、GS1 Japanの技術資料、PMDAの回収情報の案内を確認しました。個別製品の期限や表示位置は、その製品の正式資料で確認してください。資料確認日:。
- 医療機器を特定するための符号の容器への表示等について厚生労働省|別添2の定義、包装単位別の表示、使用期限と耐用期間の区別を参照(新しいタブで開きます)
- 医療機関向けGS1標準 技術標準書(Release 1.0)GS1 Japan|3.2のGTIN・有効期限・ロット・シリアルの識別子と、商品情報との組合せを参照(新しいタブで開きます)
- 医療機器の電子化された添付文書の記載要領について厚生労働省|保管方法及び有効期間等、使用方法、取扱い上の注意の確認項目を参照(新しいタブで開きます)
- 回収情報(医療機器)PMDA|回収概要の確認、対象ロット情報の注意点と問い合わせ先を参照(新しいタブで開きます)
- GS1 Digital Linkリゾルバの構築方法GS1 Japan|商品にロットまたはシリアルを組み合わせた識別の説明を参照。実装手順の解説は本記事の対象外(新しいタブで開きます)

