医療機器の基礎

医療機器のGS1コードとは

医療機器のGS1コード、GTIN、ロット・有効期限・シリアルの関係を解説。包装単位の違い、バーコードの読取り結果、入庫・使用記録・回収照合で確かめたい項目を整理します。

架空の包装と、GS1の識別子01の商品、17の期限、10のロット、21のシリアルの対応を示す生成概念図

まず結論

医療機器で使われるGS1コードは、商品を識別するGTINと、ロット・有効期限・シリアルなどの情報を共通のルールで表す仕組みです。バーコードを読み取った後は、含まれる項目と包装単位、手元の製品との対応を確かめます。コードの読取り成功だけで、使用可否や回収対象の確認が完了するわけではありません。

  • GTINどの商品・包装か
  • AI後に続く情報の種類
  • 製造情報期限・ロット・個体
  • 照合現品・記録・正式資料
01

GS1コードは、商品と製造情報を共通のルールで識別する

医療機器の包装には、名称や品番のほか、機械で読み取るためのバーコードが表示されます。厚生労働省の通知では、商品・包装を特定する固定的な情報を「商品コード」、期限やロットなどの可変情報を「製造識別子」と分けています。GTINはこの商品コードに使われる識別コードです。表示通知の用語定義(新しいタブ)

「GS1コード」と呼ばれることがありますが、理解するときは、商品を示すGTIN、各データの意味を示すアプリケーション識別子(AI)、データを図形で表すバーコードの3つを分けると整理できます。ここでいうAIは人工知能のことではありません。

横長のコードと、二次元のコードがある

医療機器の特定用符号として、通知ではGS1-128シンボルまたはGS1データマトリックスを定めています。GS1データマトリックスは、一般のデータマトリックスと同じ扱いではありません。2026年2月のQ&Aもこの区別を示しており、四角いコードという見た目だけで判断しないことが大切です。厚生労働省Q&A・Q38(新しいタブ)

コードは流通や追跡のための識別情報です。承認・認証・届出の番号、製品の使用目的、機器同士の適合条件を代わりに示すものとして扱わないようにします。

医療機器の基本と製品を特定する名称の違いは、医療機器とは、一般的名称と販売名の違いもあわせて確認できます。

02

括弧付きの識別子から、後に続く情報の意味を読む

GS1の目視文字では、括弧で囲んだAIがデータ項目の手掛かりになります。次の表は代表的な項目であり、すべての製品に4項目がそろうという意味ではありません。GS1技術標準書・第3章(PDF・新しいタブ)

画面が狭い場合は、表を左右にスクロールして確認できます。

代表的なGS1のAIと確認項目
AI後に続く情報確認すること
(01)GTIN対象の商品・包装単位と対応しているか
(17)有効期限日年月日のデータと、包装の期限表示が対応するか
(10)バッチ・ロット番号どの製造単位か。GTINと組み合わせて扱う
(21)シリアル番号どの個体か。GTINと組み合わせて扱う
架空の包装と、GS1の識別子01の商品、17の期限、10のロット、21のシリアルの対応を示す生成概念図
GS1のデータ項目を説明する生成概念図です。日付・番号は架空で、コードは読み取りに使えません。規格に適合するラベルの見本ではなく、実際の表示項目は製品や包装によって異なります。

図の「(17)280531」は、説明用の2028年5月31日です。「DEMO-A」「DEMO-001」も架空の値で、実製品の登録や読取り試験には使いません。GTINの具体的な番号は示していません。

AI(01)のデータ欄ではGTINを14桁で表し、14桁より短いGTINは先頭を0で埋めます。先頭の0を勝手に落とすと、記録や照合の形式が変わります。また、AIの並び順を固定と考えず、識別子ごとに意味を確認します。UDI表示ガイド・3.3(PDF・新しいタブ)

期限・ロット・シリアルそれぞれの役割と包装での探し方は、使用期限・ロット・製造番号もあわせて確認できます。

03

どの包装を読み取り、何が記録されたかを確かめる

GTINは取引単位を識別します。同じ製品でも、単品と複数入りの箱など取引単位が異なれば、同じGTINとは限りません。箱を読み取ったのか個包装を読み取ったのかを確認し、入数や数量の単位も合わせます。GTIN設定の基本原則(新しいタブ)

読取り後に製品名が表示されても、その名称がコード内にそのまま記録されているとは限りません。GTINをキーとして、商品マスターなどに登録された名称・規格を呼び出す場合があります。コードに含まれる値と、システムが追加して表示する情報を区別してください。

読取り音だけで照合を終えない

読み取れるシンボル、AIの解釈、可変長データの区切り、保存される項目は、読取機とソフトウェアの設定に関係します。目視文字の括弧と実際のデータは同じではありません。GS1 Japanも、括弧の誤ったエンコードや区切りの扱いを確認項目として示しています。データの確認項目(新しいタブ)

導入や設定変更の際は、採用製品のラベルを用い、取得したGTIN・期限・ロット等が画面と保存記録で対応するかを担当者が確認します。取り込まれなかった値を推測で埋めたり、別の箱のロットを代用したりしないようにします。不一致は現品表示とメーカー資料、システム仕様を照らして確認します。

電子添文を開く機能も、製品の照合とセットで使う

対応アプリの「添文ナビ」等で包装の符号を読むと、PMDAの電子添文などへアクセスできます。開いた文書の販売名・型式・改訂版を確かめ、対象製品の注意事項を読みます。コードだけから安全性や併用可否を判断する仕組みではありません。PMDAの電子化の案内(新しいタブ)

電子添文を開いた後に確認する見出しと内容は、電子添文の読み方もあわせて確認できます。

04

実際の医療現場では、入庫・使用記録・回収照合に結び付ける

以下はGS1の標準資料と公的情報を踏まえた一般的な確認観点です。特定施設の実例や院内手順ではありません。担当者、記録先、照合方法は所属施設の手順に従います。

  • 入庫:納品された製品名・規格・包装単位を発注内容と照合する。取得したGTINと、表示される期限・ロット等が現品に対応するか確認し、箱数と個数を取り違えない。
  • 使用記録:対象の製品・包装から取得した情報を、必要な記録と結び付ける。スキャンした事実と、必要項目が正しい記録先に保存された事実を分けて確認する。
  • 回収照合:回収案内の製品名・型式や品番・対象ロットまたはシリアル等を、現品と記録で照合する。商品コードだけで対象外と結論付けない。

バーコードは、対象をたどるための情報を入力する手段です。追跡に利用するには、製品情報と入出庫・使用の記録との対応が必要です。記録する範囲やアクセス権を施設で確認し、患者情報を公開資料や不要な外部問い合わせに含めないようにします。GS1標準の利用場面(PDF・新しいタブ)

回収対象や対応方法に不明点があれば、PMDAの医療機器回収情報(新しいタブ)で最新の概要を確認し、そこに記載された製造販売業者へ問い合わせます。読取り結果をもとに独自に対象範囲を狭めないでください。

包装と画面上の資料を照合する手元の生成イメージ
資料照合を表す生成イメージです。実在の施設・製品・院内手順の写真ではありません。描かれた表示やバーコードは、実製品の確認には使用できません。

関連する表示の知識は医療機器の基礎:包装表示・製品の識別から確認できます。

05

GS1コードについてよくある疑問

GS1コードとGTINは同じ意味ですか?

GTINは商品や取引単位を識別するコードです。GS1のバーコードにはGTINに加え、ロットや期限などを所定の識別子で表すことがあります。商品を示す番号と、その番号等を機械で読める形にするバーコードを分けて考えます。

読取りで製品名や価格も必ず分かりますか?

必ず分かるわけではありません。読み取ったGTINに対応する製品名などをデータベースから表示する仕組みと、コード自体に含まれるデータは別です。表示される内容は接続先のデータとシステムに依存します。

ロットとシリアルは両方入っていますか?

すべての製品で両方が入るとは限りません。対象製品と包装の表示仕様を確認し、実際に取得できた項目を扱います。ロット等はGTINと結び付け、欠けた項目を他の包装から推測して補わないようにします。

バーコードから電子添文を開ければ使用できますか?

電子添文へのアクセスと使用可否の判断は別です。表示された文書が手元の販売名・型式に対応しているかを確認し、使用目的、警告・禁忌、併用条件などを読みます。個別の判断は担当する医療従事者と施設の手順に従います。

更新履歴:2026年10月30日、GS1のデータ項目、包装単位、入庫・使用記録・回収照合の確認観点を整理して公開。

根拠資料

参照した公的資料・標準資料

厚生労働省の表示通知と2026年2月のQ&A、GS1 Japanの標準資料、PMDAの案内を確認しました。個別製品の表示仕様や取扱いは、製造販売業者の正式資料で確認してください。資料確認日:。

  1. 医療機器を特定するための符号の容器への表示等について厚生労働省|商品コードと製造識別子、表示項目・包装単位・シンボル体系を参照(新しいタブで開きます)
  2. 特定用符号の容器への表示等に関する質疑応答集(2026年2月10日)厚生労働省|Q38のGS1データマトリックスと一般のデータマトリックスの区別などを参照(新しいタブで開きます)
  3. 医療機関向けGS1標準 技術標準書(Release 1.0)GS1 Japan|第2章の利用場面、第3章のAIとデータの扱いを参照(新しいタブで開きます)
  4. 医療機器等のためのUDI対応バーコード表示ガイド(第3版)GS1 Japan|3.3のAI、GTINの14桁表現、項目・表示順に関する説明を参照(新しいタブで開きます)
  5. GTIN設定の基本原則GS1 Japan|取引単位とGTIN、単品と集合包装の区別を参照(新しいタブで開きます)
  6. GS1 Japan Scan アプリGS1 Japan|読取りデータの項目・区切り・表示文字とデータの違いを確認する観点を参照(新しいタブで開きます)
  7. 添付文書の電子化についてPMDA|対応アプリから電子添文等を閲覧する仕組みを参照(新しいタブで開きます)
  8. 回収情報(医療機器)PMDA|回収概要と製造販売業者への確認先を参照(新しいタブで開きます)
医療監修者

倉田 照久